Jane EyreはなぜRochesterのもとに戻ったか

闇の深い幼少期だった。Jane Eyreに比べればはるかに恵まれていたが、歪んだ価値観を持つには十分だった。 両親ともに職を転々としており、不安定な生活だった。あまりの耐えがたさに、9歳の夏休みは、国外の親戚の家へと避難した。後には自傷も繰り返した。…

田舎という絶望

長期休暇になると、帰省することを期待される。それは地方の学生にとって当たり前かもしれないが、私の家では長期休暇まるまる帰省するのを当然のように要求されるので、とても困ってしまう。 なぜ困るのか。もちろん、誰かと遊びに行ったり、ゼミに参加した…

新緑の季節

4月下旬から5月上旬にかけての連休を、世間ではゴールデンウィークらしい。今日は、実家ではお茶刈りをしているらしい。夏も近づく八十八夜である。 思えば、GWにどこかに遊びに行ったという記憶はない。記憶はいつもお茶畑である。けたたましい音をたてて…

疑問

人々は、どうやって日々を過ごしているのだろうか。 大学に通い、サークルに所属し、バイトにも励み、インターンに参加する、そんなバケモノのような人が割と周りにいたりする。そういう人々は、どんな生活をしているのだ。果たしてそれは人間業なのか。大学…

井のカワズ線に乗って

外が何やら賑わしい。ボロアパートの2階から外を眺めると、大きな車が止まっていた。大学生とその両親がたくさんの荷物を運んでいる。春だ。引っ越しの季節だ。 この落ち着かなさ、この浮ついた感じ、大学生活が始まったばかりのあの頃を思い出さざるをえな…

九州旅行記 後編

自動車は嫌いな私だが、旅行そのものは好きである。見知らぬ土地にいる、それだけで気分は高揚する。そもそも高校時代は、日本や海外のいろんなところに留学したり出張したいという動機だけで勉強していたものだ。 しかし「旅」の意味が半年前から、幾分か変…

九州旅行記 前編

私は車が大嫌いである。駅まで車で乗せてもらうくらいならば、慣れた道であり車に乗る時間も短いのでまだ耐えられる。しかし、30分も1時間も車に乗るということになれば、ひどく緊張し、不安になる。自動車は飛行機や電車よりも圧倒的に危険な乗り物なの…

落単芸と、バカッターと、言葉遊びと

笑いには2種類ある。外界に変化を与えることなく元に戻れるものと、戻れないものとである。 近頃、バカッターというものが話題になっている。度の越えた悪ふざけをツイッターに投稿し、世間から非難を受ける人のことを言うそうだ。一度の失敗が世界中に知ら…

折りたく林檎の記

私は、人か理解されないことが多い。 考えてみると当たり前のことかもしれない。中学でも高校でも大学でも、常に出身地域として少数派であった。地域によりその構成要員は幾分異なり、それにより慣習や制度に違いが生じ、終には各々の思想にも影響を及ぼす。…